月刊OUTって、何だったのかな? 月刊OUTって、何だったのかな?

かつて「月刊OUT」というアニメ/サブカル誌がありました。
元読者3人からなる「月刊OUT勝手連」が、当時の編集部員やライターなど、雑誌にかかわった方たちへのインタビューを通して、18年にわたる雑誌の歴史を振り返ります。
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力押し三五郎さん( 1234
インタビュー:力押し三五郎さん(その2)

公開日:2025年11月23日


鈴鹿8時間耐久レース
「闇雲1号っていうキャラクターがどう走るかだよ」

『鬼屋繁盛記』って、この鬼瓦モータースっていうバイク屋さんに集まる、陽気にわーっと騒ぐのが好きっていう人たちがツーリングしたり、チームを作ってレースに出たりっていう話ですけど、その展開は最初から頭にあったんですか。

最初にツーリングに行くでしょ。で、鈴鹿8耐はずっと見てて面白いなと思っていたので。鈴鹿8時間耐久[29]は'78年ぐらいからやってるのかな。その頃の8耐…まだ8耐とも言ってなかったけど、すんごい手作りなの。出てくるバイクもね、切った貼ったのやつも多いし、海外ワークスなんかほとんど出てこないし。草レースにすごい毛深く毛が生えたくらいの感じのレースではあった。いま見ると、うわっていうようなバイクが走ってて、そのまんまの感覚でワークスがゴリゴリ参戦して、当時ものすごいブームになった。その、すごいでかいコンテンツになってる8耐を、あの当時のアプローチでやったらどうなるべ、って。

それをやるにはこのキャラクターで行ったらいけるんじゃないか。やる気と体力はあると。あんまり金はないな、どうする? でも海外に太いパイプ持ってる謎の人物が複数いる、と。そうすると、どういうわけだか知らないけど、部品が方々から集まってくると。都合よく都合よく話は持っていくんだけど、そこに後付けの裏付けがついていくわけ。なんぼでも後付けぐらいはしてやるぞって。

細かい齟齬がある部分も多いな。AMAのライセンス[30]ではいまはダメって話もあるし、いまはレギュレーションも全然違うから、ダカールから拾ってきたNXR[31]の部品を使ったRS750Dのエンジン[32]を組んだ段階でレギュレーション違反で出れなくなっちゃうっていうこともあるんだけれど、そんなことはどうでもいいや。当時の狭角VツインのNV[33]をハッタリのマシンにしようっていうモチベーションだけだよ。

そこでNVを出そうと思ったのはどうしてですか?

俺の友達がNVに乗ってて、「NVいいよ」って言うわけさ。それはいいけど狭角の立ちの強い[34]縦長のフレームで、どうやってレースに出すつもりだよって言ってたら、別の友達が限定解除して、スズキのLS650[35]っていう単気筒にアメリカンのフロントフォークを100ミリぐらい出して、そこにクリップオンハンドルつけて、バックステップつけてひらりひらりって乗ってるのを見て、「アリだな」って思った。これはいけるだろう、そこにリアルでやってる馬鹿がいるから。そういう友達がいたんです。LSでもよかったんだけど、排気量が足りないからさ。NVは750ccだ、ということで。

メーカー的な考え方すると、あんな回らないもので225km/h出すのはどういうギアになってんだろうとかさ、フリクションの問題はどうするんだとか、ぜったい途中で部品的にダレてくるぞっていうのはあるんだけども、それはOUT誌上に載っけた漫画ということで、ご容赦願いたいです。

当時の読者でそういうことを言ってくる人はいたんですか。

いないですよ。全然ツッコミは入らないです。あれ見てバイクに乗り始めましたっていう人はいたけどね。メカ的な話だって、俺だってそんなエンスーなわけじゃ無いから、感じ・雰囲気で描いてる部分があるんだ。ホンダのエンジンならなんとかなるだろうとか思いながらね。

でも確かに、NVの系統のエンジンでNXRとかもあって、本当はできるかわからないけど、なんとかなりそう。

なんとかなりそうな気がするでしょ。だからホンダのエンジンの枝分かれの感じとかがなんとなく見えてると、これも無いことはないっていうふうに、思ってもらえればいいかしら。

ストーリーの方で言うと、近所の人たちが集まってレースに出ようって、フォーマットとしては熱血スポコンものにも近いじゃないですか。でもそこでレースの最後の方で、「いや、これはもう完走なんかしなくていいんだ」と。壊れる前に最後にドカンとライバルと派手にバトルをやって、それでバイクを壊して、もう俺たちはこれで打ち上げだって、明るく終わっちゃう。その熱血を通さなかったのは、ご自分の中で何かあったんですか。

やっぱり分別のある大人が複数はいってるじゃん。しかも日本人ばかりでもないし、実際に走ってる怪人と呼ばれる人も、雇われライダーもそこにいるわけだ[36]。その連中が寄ってたかって走らせてみて、時差はあれどそれぞれがそれぞれの感覚で「ここまでかな」って思った瞬間って、きっとあの中であったと思うんだよ。それが一点に向かって収斂していくんだと思うのね。

その収斂をさせていくやり方だけど、単独で淡々と走ってるところに、狂言回しのビガーズ・チキン[37]が…あそこにそぐわないSFが入ってくるわけだ。それが周りをちょろちょろし始めてくると、おっさんのセンチメンタルな部分にくすぐりが入ってきて、「邪魔だなこいつ、しょうがねえや、成敗!」っていうふうになる向きと、「純粋にどっちがいいかやってみようじゃねえか」っていう考え方と、「どこまで行けるか見てみてえな」っていう感覚と、あと、「ここまで来たらどうしようか、悲しくリタイアするのもいいけどな」っていうのと…。

もうちょっと若い連中になってくると、「やろうやろう、だけどダメかな」って思いながらも、「おっさんたちが喜んでるからいいか」っていう考え方もあったと思う。1人の人間が描いてることなので、傾向としては同じ方に向いてはいるんだけど、それぞれの内部には葛藤があったと思うのでね。でも、それを馬鹿っぽく「一丁派手にドカンと」って言わせた段階でね、もういいかなって感じがあった。

あそこで、もうひとり熱血がいて、「いや、そうじゃなくって完走を目指しましょうよ」っていう人がいたっていいんだよ。だけど、少なくともあのビール飲んでる連中はそういうことは考えないわけだ。よろよろ完走してみたところで、後片付けも大変だし、いいよいいよ、やめようよっていう感じで言ったのだと。

それはね、読者のみなさんにそれぞれの感覚があっていいと思うの。「もっと頑張ればいいのに」とか、ホンダのギ・クーロン[38]のことをあんなに言ってんだから、「いったん鬼さんの調節で直して、また復帰すればいいじゃん」っていう考え方もあるわけで、そんな話を描いても良かったんだ。オイル上がりはガスケット調整と、頭を開けてリングを入れて、とりあえず20周30周ぐらいなら白煙を止めることは可能かもしれないな、っていう感覚もあるけど、それをやってるうちにレースが終わるぞっていう話になっちゃうからね。

あとは闇雲1号[39]をちょっと労ってやりたい部分もあってね。最初からあいつ、目がついててニコニコ笑ったり、びっくりしたりしてるじゃん。あいつはね、あんまり頭は良くないんだよ。「何かなこれは」とは思ってるけどな。どうしようかってことでなくて、「おいアクセル開いたぜ、行くぜ」「調子悪いな」ぐらいのことは考えるけど、そんなに深いことは考えてない。そんなに葛藤させることもないなって思って。後に闇雲くんは別の話(※湯の島サーキットの闇雲風雲録編)でも活躍するしね。

(イラストは続編に出てくる闇雲7号)


描いてる間に話がそう転がっていったっていうことですか。

そうそう、だって、闇雲というキャラクターなので。あいつがどう走るかだよ。

グランドスタンド通過後の第1コーナーでわーってクラッシュが起こって、闇雲がスポンジバリヤーに埋もれるじゃん。だけど岩矢倉がバイクの下に身体を入れて、バイクを庇うんだよ。それで、あいつを救うの。そしたらあれも一生懸命走るわね。「おお、やりぃ!」って言って。で、後のレース運びの半分以上は彼の働きなので。ポンコツからあそこに連れてきてもらったって恩義は彼は感じてるはずなんだ。いい骨といい足はもらったけど、心臓は腐ったNVだからね。本人は「ここまで来たかい」っていう感じがよくわかってないと思うんだけどね。そういう風に見ていただけると可愛いかもよ。

いやいや、そういう風に見えますよ。それを最初から計算してそこまで持っていったんじゃなくて、描きながら、キャラクターたちがそうだから、やっぱりそうなったんだ、と言うことなんですね。

そうそう、そうなったんだと思う。だからさ、鬼屋の話の基本は、ぼやーっとして、細いモールで作ったようなフレームがあちこちにあって、それに肉が勝手についてるっていう感じ。頭の中で、こっちに走ってたらこれにコツンって当たったから、こっちに話を描こう、そっちに行ったらコツンって当たった、その話を描こう…って描いていると、こういう風になるわけ。

いま見るとね、こんなこと描いてるなって思うところが結構あって、たぶん「お筆先」で書いてる部分があるんだよね。こう描かざるを得ないって思って描いてると、そのようになっているし…あの欄外の字[40]の筆跡がさ、もう俺の字じゃないんだね、今あんな字は書けないもん。たぶん別人格で描いてる部分もあるんじゃないの。だって自分で読んでて面白いもんな。「おおすげえ、よく描いたねこれは」って思いながら。しかも初めて漫画描いてるんだよ。

消防団こぼれ話
「これは漫画にしない手はないな」

8耐の後に消防団の話になりますけど、日常系の話になるのはどういう経緯だったんですか。

とりあえずレースが一段落すると。それで若干モータースポーツの話を残しつつ、いままでOUT誌上であんまりないものってなんだろうと思って。OUTって、自衛官の投稿者[41]とかいたでしょ。あと榎野彦さんがお巡りさんだっていうのもあって、そういう公務員とか準公務員の話も面白いかな、準公務員っていったら消防団じゃねえかって、降って湧いた感じ。

(消防団の話の始まりは)岩矢倉の息子の猛にモトクロスを教えてるわけだ。その岩矢倉と監督してるオニさんのところに、チラッとサイレンが聞こえるっていうところで、その回は姑息な引きをするんだ。そのあと火事の描写になるけど、普通の民家の火災だとあんな大げさなことにはならないんだよ。でも何十件かに1回ぐらい、でかい火事ってのがある。複数の民家が焼けるのではなくて、工場火災っていうものにぶち当たった時があるのさ。

ご自分で消防団をやってらっしゃった時ですね。

うん、俺が部長のとき、ある工場が冬に火事になったことがあってね。6階建てぐらいの建物にホースを持ってあがるの。ホースを延々つなげて、ぐるぐる回って階段を上がって建物の上から水を注ぐっていうミッションがあって。建物の脇に貯水池があって、そこに泡消火剤がぶわって泡になって溜まって、周りも雪で池の水が泡で見えない。若手の団員がそこを踏んで、ずぶんって水に入っちゃって真冬にびしょ濡れになって、「ああ、いいからお前はもう帰れ」って言ったりね。

それからなかなか消えないもんだから、ポンプ車のガソリンがなくなっちゃうわけよ。そうするとポンプが止まっちゃうから、消防署が手配をしたガソリンスタンドの給油車が来て、1台ずつポンプ車に給油してまわるっていう…そのくらいの長丁場の火事ってあるの。大規模火災ってそういう風になるんだ。

みんな殺気立ってるし、消防署員も必死だし、消防団員は団員で滅多にないでかい火事ですごく頑張るしっていう、外から見てるとすごい状況になるわけ。燃えてる方の人はたまったもんじゃないよ。でもみんな一生懸命に火を消そうとして、アプローチはみんな違うんだけど、目的意識が一緒だから、すごく印象に残る現場になる。

それからこれは今となっては笑い話だけど、別の現場で、とにかく水をじゃあじゃあかけるもんだから、足元が水たまりになるわけさ。それでみんな長靴履いてきたりしてるんだけど、俺はたまたまその現場にバイクで行ったので、足元がスニーカーだったんだよ。で、あのポンプの先を持った状態で、じゃぶじゃぶ水に入って、だーって水を注いでたの。そしたらね、なんかビリビリするんだ。痺れるの。緊張してるんだろうかって思ってたら、「早く水から上がれ」っていう声が聞こえた。送電線が切れてね、ジャブンって水に入ってんだよ。

いや、危険すぎですよ!

そういう話がいっぱいある。これは漫画にしない手はないなと思ってね。

なるほど。

消防の話で、ポンプ車のドライバーの、運送屋の若ダンナ…たぶんポンプ小屋の近くに会社があるんだね、何かというと一番乗りで行くんだよ…そいつが「重量四駆の天才」っていう記述があって、3.6リッターのディーゼルをツインターボ化して420馬力に改造した三菱キャンター[42]に乗っていくっていうくだり、あれは描いた記憶がないの。俺、こんな表現をしてたんだと思ってね。あれはうちの消防団のキャンターがとろくて、それが疾走する様を見たかったんだね。

出動で、ポンプ車が工事現場の中を通ってショートカットする場面ですよね。そんなメカを描くの大変じゃないですか。全然覚えてないんですか。

全然たいへんじゃないよ。あれはもう全くストレスなく、大喜びで描いてたんだと思うな。

バイク遍歴
「ごめんなさいっ!てパトカーを抜いたな」

バイクについてなんですが、まず、三五郎さんのバイク遍歴を聞きたいなと思いまして。OUTに載っていたころって、FT[43]に乗ってるキャラクターっていう印象がすごく強かったんです。当時からなかなか変なバイクに乗ってるな、と思ってて。そこに至るにはどんな流れだったんですか。

俺は18歳から宮城県の築館町っていうところの学校に行って、その時に天童からCB50を持ってったの。

その時の教官がXT500[44]に乗ってて、もう1人の教官がCB750[45]のK0に乗ってて、同じ寮のやつがCBX400[46]に乗ってて、あとCB250RS-Z[47]があって、とりあえず校内は私有地なんで、全部そこで借りて遊んで乗ってたの。あと、そのXT500持ってる先生がね、モトクロッサーのCR80[48]も持ってたのさ。あれ80ccだけど22馬力あって、ちっちゃいバイクで20馬力を超えるってなかなか気持ち悪くて、乗ってアクセルを開けてクラッチ繋ぐとバイクが体の下からなくなる(※つまりライダーを残してすっ飛んでいく)から、なかなか一緒に走れないっていうのがあったよ。

そんなふうに学校のグラウンドでバイクに乗ってよかった…よかったわけじゃないんだろうけど、止める人が誰もいなかった。だって教官のバイクだもんね。知ったこっちゃねえって、遊んでたよ。

教官は怒らないんですか。

怒らない。だって、貸してくれるんだもん。

俺はそういう変な教官と友達に囲まれた寮生活をしていたので、悪いやつでした(笑)。それで免許なしで乗ってた状態から、地元に戻ってきて中免をとって。で、『モノ・マガジン』[49]でFT特集してたのよ。「400ccのお買い物バイク」って言ってたのかな。すごいお手軽なバイクだって。

赤いし、黒いし、これいいなと思って。で、当時は人気がないバイクだったんで、馬力あたり1万円で売ってたのさ。定価は42万3千円だったんだけど、27万円。

いやあ、安いですね。

売れないバイクだったからね。最初うちに来たときはトップブリッジ[50]がガッチガチに締まってて、まぁ立ちが強くてえらい乗りづらい状態で、しばらくそれ乗ってたんだけど、FTの数ある初期不良の一つ「セルモーター[51]が固着して抜けなくなる症状」が出たんで、さっきのバイク屋さんに持ってったら「この状態でよく乗ってたなぁ」って…調整してもらったら、すごく乗りやすいバイクになった。

FTの後は?

そのあとはね、CBR250[52]と、CBR400[53]と、バイクはそのくらいかな。

バイクはね、火事が起こった時の出動用に使うと、とても楽。天童の山の上の寺が火事になったことがあってさ、現場にCBR250で走ってったら、パトカーが現場に行くのにのろのろ登ってるもんだから、ミン!って抜いたことがあったな。パトカーを抜いたのは久しぶりだった。ごめんなさいっ!って。

じゃあ、バイクに乗ってたのは'80年代いっぱいぐらいって感じなんですか。

そうね。あとは周りで乗ってる連中の話を束ねて描いてるんで…バイクは変な話も集まるからね。

鬼繁バイク話
「場にそぐわないものを出したら面白いかなって」

『鬼繁』では、消防団とスキーの話のあと、湯の島サーキットでのローカルレース編が始まります。今度は地元のコースという設定で、ライバルチームのスピアー[54]というバイクが出てきます。このあたりの設定はどうやって出来たのでしょうか。

鈴鹿で出した、ビガーズ・チキンのF-1S「ブロンコ」[55]。あれも完全オリジナルのモックアップで型から上がってきた、あちこちのメンテナンスハッチがパカパカ開くタイプのバイクだったでしょ。それの発展型だよね。若いお姉ちゃんが1人で乗って、誰よりも速いっていう…当時のOVAとかにもよくありがちな設定ではあるし、そこに笑いを必ず入れることにはなるんだろうとは思ったんだけど、なるべく場にそぐわない感じのものを出したら面白いかなって思って。

鬼屋が拵えるものって、どうしたって粗暴で愛嬌があってって感じになるでしょ。いま鈴鹿とかに出てくるチームも、プライベートでもワークスでも、すごく洗練された感じか、ゴリゴリで来て「俺つええ」っていう感じか、どっちかに分類されるので。その双方の喧嘩を描こうとすると、どうしたってああなるよね。

レギュレーションとしてはなんでもありのクラスなので、何をやったって良いわけですよ。ドクター・ガービィ[56]は自律型の機械を作る専門家で、しかもその制御を人間の脳にやらせるのがいちばん安いっていう、非常に合理的な考え方をする人でね。

で、鈴鹿に持ってきたやつよりも、より洗練された感じで、しかも400ccでターボ。車体が軽い、でも出力は高い。性能曲線もあそこのコースにびっちり合わせてある。どうやってスキャニングしたんだかわからないけども、コース全体の凸凹のデータも全部入ってる。コースのどこにどんな速度で入ったらこうなるっていうのは全部バイクもわかってるし、手元のラップトップにも全部データが上がってきてる。「人間いなくたっていいじゃん」って感じなんだけど、ライダーの姉ちゃんはやっぱりこれをコントロールして勝つんだっていうので持ってきてるわけよ。その辺のパラドックスもありながらね。

あそこにミヤモトR・T[57]って出てくるじゃん。あの宮本くんって、あいつは読者からもらったキャラクターなんだよ。時々あるんだけど、こんな話にしてくださいとかこんな話が見たいとかっていうのが編集部から来てね。珍しくキャラクターが来たんで、面白いなと思って。

それは、Nさん[58]の、ストーリーについての監修なんですか。

ストーリーに関しては全く話はないです。コマ割りと漫画的なテクニックの話だけ。そのキャラクターについては、Nさんは「僕はあんまり勧めない、これやっちゃうと、どんどん来たりするから、よく考えた方がいいよ」って話だったんだけど、でも「面白いからやりますよ」って。髪が長いっていう基本構造だけもらって。

元は女子みたいな長くて被さるような髪型だったのを、髪を上げて後ろに伸ばしたら、『攻殻機動隊』のプロト[59]みたいな感じになった。賢くて、目から鼻に抜けるタイプで、周りを固めてるやつも頭いいやつばっかりだっていう、スカした感じの描写にしたかったんだけど、俺は人がいいからねェ(笑)、可愛いキャラクターになっちゃって。わりと魅力的な人になったと思うよ。酒を飲ませると弱いし。そういう裏設定を考えるのが面白くて…あのキャラクターを提示した人をコケにしてるっていう話もあるけど。

でも、そのキャラクター案を送った人は喜んだんじゃないですかね。

だって大ゲストだもんね。宮本R・Tは湯の島シリーズで2戦ぐらい勝ったもん。

そうですよね。湯の島シリーズで鬼さんたちの最初のライバルとして出てきて、結構強くて。次の強敵が出てきたらちょっと落ちたけど、最後は仲間になる、みたいな展開で。

そうそう、そういう感じなのよ。

スピアーについては、あの当時ですでに鬼繁で自立バイクを出してて、最近やっとホンダとかもそういうのをやり出して[60]、面白いなと思ったんですが。

ジャイロを積んで自立させるっていうのは、あの当時からあったの。ただジャイロを積んじゃうと、曲がらない、コーナリングできないんだよ。実はずっと立ってるバイクは作れて、押しても倒れないんだけど、走らせられないバイクになっちゃう。

いまヤマハが頑張ってやってる、くねくねするロボットみたいな電動バイク[61]があるでしょ。スピアーって、あれをハイパワーのエンジンを積んだ状態で、高速走行もできて、止まった状態だとメンテナンスのためにずっと立ちっぱなし。設定すれば斜めの状態でも立ってる…それはすごく便利じゃん。そういうバイクなんだ。

「どうやって?」っていうのは、ドクター・ガービィに訊かないとわからない、あの人は天才、世界的権威だから。娘(※カーミラ・ガーブライエ。スピアーのライダー)をどこまで改造してんだって感じで。

そのカーミラが着ているライダースーツが空調付きでした。そういうアイデアって実際にも当時あったんですかね?

走ってる最中でも何かを積んで(アクティブに)空調っていうのはなくて、バイクに乗った状態でエアホースをつないで、走行中の空気を回すっていうシステムも持ってるチームはあった。ただ、そうすると体の動きに制限がかかるんで、実はやりづらい。それから長くやってるうちに、身体に触れる部分が傷になるっていうのもあったの。あとはね、バイクで走り終わって、ツナギを脱いで、布団乾燥機にツナギの口をつないでバーンって…ピットの中でツナギが人の格好に膨らんでるっていうのを各チームでやってたんだよね。

それを着た状態で常にやってたら面白いだろう…あの頃からもう夏は暑くなってたのかな。ツナギで走ると暑いっていう描写が出てくるし、みんな「暑いよ」って言いながらやってる。いついかなる時でも快適に過ごすっていうのはアメリカ人の大目標であるらしいし、「いつでもどこでもコーラが飲めて涼しい、それじゃないと嫌だ」っていうことなんじゃないのって話になってね。ピッタリしたスーツなんだけど、すごく涼しい、なぜかはわからないっていうね。ヘルメットを押すとパコンってとれるのは、何かの仕掛けがあるんだろうね。

僕はバイクのことは全然わかりませんけど、当時読んでて、へえーって思いましたよ。

そんならよかった。もうね、大部分ハッタリなので。バイク誌に描くんならあんなことは描けないよ…いや、描けたかもしれないな、バイクの連中はバイクのことだけで、SFのことはわかんないもんな。

気分はライダーズ・ハイ
「バイク乗りは筋の通った馬鹿なんだ」

榎野彦さんにインタビューした時の話で、鬼繁の連載の直前に『気分はライダーズ・ハイ』っていう企画記事[62]がありましたよね。それをバイク誌の人たちに見せたら大受けしたっていう話がありました。

ああ、あれは「勝った」と思ったね(笑)。

昔からバイク誌は読んでたよ。『ミスター・バイク』[63]だったかな? 「俺のバイクを見ておくれ」っていうようなコーナーがあったんだよ、自分のバイクの走ってる様を投稿するっていうね。昔のバイク誌は…今でもそうかな、ほぼほぼ投稿誌みたいな感じでバイクネタがあった。だから、それのOUT向けの記事みたいなのが多いんだろうなって思いながら、カットを描いたんだ。当時のバイク誌にもね、馬鹿なライダーの話ってけっこう載ってたんだよ。そういう感じのネタをずっと貯めてほぐして描いた部分がある。面白かったよ。

例えばさ、今はグローブだのブーツだの着けて、ヘルメットもちゃんとして乗るのがかっこいいっていう時代だけど、昔は基本Tシャツで、下手するとサンダル履き、良くてズック靴でバイクに乗るっていうような、ひと転びでザクザクになるけど、そんなことは気にしちゃいねえ、転ばなきゃいいんだよって…当時のバイク誌はそんなメンタルの読者が大部分だったわけ。だって俺よりひどいやつがたくさんいたもん。「ここまで馬鹿にはなれないね」って思いながら読んでるぐらいの本だった。それでも編集部の中で「これおもしれえ」って言ってもらったら、俺の勝ちだもんね(笑)。

バイクブームのころのバイク乗りの連中っていうのは、昔からやっぱり迫害されてるわけだ。「免許を取らせない・買わせない・運転させない」っていう「三ない運動」[64]なんていうのもあってさ、甚しい時は「見るな・触るな・振り向くな」って言われたんだから(笑)。それでもなおバイクに乗りますよっていう連中なんで、いっぽん筋の通った馬鹿であるのは間違いないんだよ。

HOOLIGANS
「俺は西部警察をやろうとしたんだよ」

『鬼屋繁盛記』が終わって半年ぐらいして、今度は『HOOLIGANS』[65]が連載されます。この作品は事件ものということで、設定もより複雑になってますし、画面のカメラの位置とかも『鬼屋繁盛記』より凝っている。背景もビルとか描き込んであるし、だいぶパワーアップしたような感じを受けました。残念ながら2回で終わってしまいましたが、話の展開はどうなる予定だったんですか。

あれは、2回で終わるつもりはなかった。2回で終わっちゃって、「あー」って思ったんだけどね。あれは仙台広域圏っていうところが舞台になってて、その背景としては、あの世界では裏で第2次関東大震災が起こってて、関東が無くなっちゃってるんだよ。それでいわゆる副首都というのが日本に複数あって、っていう設定で、だから言ってしまえば『攻殻機動隊』[66]みたいな話なんだよね。それでNさんは、士郎正宗みたいな話になるのかなって最初は言ってたの。俺はね、『西部警察』[67]をやろうとしたんだよ。

あとはあれだな、背景に『パトレイバー』[68]があったかな。パトレイバーで、日本の首都でどこどこを封鎖して、何がどこで止まってっていう話があって、地方の人間には全然わからない…っていうのは話の中でも誰かが言ってたけど、なら地方都市の話でいいじゃんって思ってね。地方都市の話をもっともらしくするにはどうしたらいいかっていうと、ああなっちゃうわけだ。

そこに薄らでっかくてもみあげがあって、粗暴なキャラクターとかが出てくる。そうすると、高校の頃やってたノートに描き殴ってたキャラクターがそこで出てくるわけ。

確か僕の記憶によると、その頃、意外と反応が良くて行けそうだ、ということを聞いた気がするんですけど、2回で終わっちゃったのはなぜなんですかね?

わかんないです。予告なしに「次回作にご期待ください」って誌面にあって、「次回作もまた違うのやるのか」と思った。

当時、OUTは誌面刷新を何回もやって[69]、ターゲットの読者層に合わせようとしてたからかな。

なんなんだろうな。色が違ったんだと思うよ。あのころOUTって、ずいぶんかわいい本になったじゃん。俺は(そう言われても)かわいく描けたかなー?

そうですよね。表紙になるアニメも女の子向けが多かった時期ですもんね。

『HOOLIGANS』に関しては、うちの、山形県人会(※山形のOUT読者の集まり)の人たちがずいぶんネタ出しをしてくださったので…俺ひとりであんな複層的な話にはならないから。実景もずいぶん描いてるし、よく頑張ったと思うんだけど、これから、っていうところでポツって切れたのでね。

さっき『パトレイバー』で東京を舞台にしてって話がありましたけど、その当時、実在の地方都市を正面から舞台にした漫画ってそんなになかったと思うんです。モデルのある架空の街とか土地、例えば『じゃりン子チエ』とか『釣りキチ三平』みたいなのはありましたし、地方色をネタにした『県立地球防衛軍』というようなのはありましたけど、多くは関東近辺で、例えば『ドカベン』の神奈川とか。地方モノがあっても、東京や関東ではないという意味が強くて、別にどこであっても構わない。

『動物のお医者さん』の佐々木倫子さんがその前に描いてたシリーズ、あれが北海道ネタで、基本北海道、みたいな、それぐらいかな。[70]

今だと漫画家さんが、例えば岡山とか名古屋あたりに住んでたりして、そこにいる高校生が恋愛するみたいな作品はすごくあると思います。でも当時、実在の地方都市、しかも行政機構を舞台にした、みたいな作品はあんまりなかったんじゃないかと。それも面白いなと思って。そこは狙ったんだろうなって当時思ってたんですが。

うん、それもあるんだよね。やっぱり物事の描き方として、東京中心に描くって、絶対あるわけじゃん。それができなくなった状況をまず作ったわけだよ。

関東一円が政治的にも物理的にもすごく毀損されてしまって、「仕方がないからよそに持っていこう」って、仙台とか福岡とか名古屋とか大阪に、細切れに首都機能を移した。その混沌とした状態でいろんなところが緩くなってきたところに外患がわーって来たのをなんとかしなくちゃならない。

日本には複数の広域行政圏というのがあって、そこに「圏警察」というのを設けて、各都市の都市圏には都市防衛の意味を持って都市警察っていうのをでっち上げて、それは違う法律で作られた警察だと。だから二つの体制であるっていう…アメリカ映画でよくあるFBIを毛嫌いする地方の警察っていう構造が日本国内にもできるわけ。

都市警察に行ってる警察官っていうのも、自衛隊上がりも海上保安庁から上がってきたやつもいて、複数の構成でできてるんだけど、警察から上がったのもいて、その連中と圏警察に残った連中があんまり仲良くないっていう描写もあって。警察モノとしてもちょっと面白くなりそうな感じはあったんだよね。ただOUTの読者には合わないだろうなって気もしてた。

そのさらに3年前のOUTだったらよかったかもしれないですね…。

→ その3につづく
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力押し三五郎さん( 1234

[29] 鈴鹿8時間耐久レース : 夏の鈴鹿サーキットを彩る名物レースの一つで、オートバイによる8時間の耐久ロードレース。

[30] AMAのライセンス : AMAはアメリカ国内で行われる多くのバイクレースの公式統括団体。岩矢倉はスーパーバイク(市販車ベースのロードレース)に出たことがあり、そのライセンスを持っていた。

[31] ホンダ NXR750 : 750cc水冷4ストロークV型2気筒エンジンのラリーレイドバイクで、1986~89年にパリ・ダカールラリーで4連覇したワークスマシン。

[32] RS750Dのエンジン : ホンダ RS750DはアメリカのAMAダートトラックレース専用マシンで、1984〜87年にかけて圧倒的な強さでシリーズを席巻した。エンジンの源流はNV750カスタムのもの。

[33] 狭角VツインのNV : ホンダNV750カスタムは750cc水冷4ストロークV型2気筒(V-Twin)のアメリカンバイク。近年はクルーザーと呼ばれる車種だが年代的にアメリカンバイクと呼ぶほうがしっくりくる。エンジンをコンパクトにするため各気筒間の角度が狭い。

[34] 立ちの強い : バイク用語で、コーナーで自然に起き上がろうとする傾向があること。直進安定性がよい反面、バイクを寝かしにくいため曲がりにくい。

[35] スズキ LS650 Savage : 650cc空冷4ストロークSOHC単気筒エンジンを搭載したアメリカンバイク。Vツインを採用することが多いアメリカンで大排気量の単気筒を採用したちょっと変わったバイク。北海道ツーリングでは鬼さんがこれに乗っていた。

[36] チーム鬼屋の面々 : 鬼さんの他には、アメリカの商社の日本支店長・ダルタン・キングストン、ライダーの一人(怪人)・岩矢倉、もう一人のライダーで4スト2気筒のプロのホープ・フリードマン、などがいた。

[37] ビガーズ・チキン・レーシング・ディヴィジョン : アメリカのフライドチキン・チェーンのプライベート・チーム。ドクター・ガービィが設計したハイテク・バイク「ブロンコ」で鈴鹿8耐に参戦する。

[38] ギ・クーロン [Guy Coulon] : フランス出身の名メカニック、表記は「ギー」または「ガイ」とも。特にロードレース世界選手権(WGP、MotoGP)で活躍、日本では「ライオン丸」の愛称で知られる。8耐編でホンダのスタッフとして1コマ登場。

[39] 闇雲1号 : チーム鬼屋のレース用バイクの名称。バイクのヘッドライトの部分が目のように描かれて可愛い。『鬼繁』はシンプルな2気筒エンジンの闇雲が技術の粋を集めた高性能4気筒エンジン車を相手にいかに闘うか、という話であった。闇雲1号は湯の島シリーズに第5戦まで登場したのち、闇雲2号(VFR750改・V型4気筒)に出番を譲る。

[40] 欄外の字 : コマの欄外の書き文字は'80年代の漫画に多かったが、『鬼屋繁盛記』の書き文字はそれにしても多く、これを読むのが楽しみの一つでもあった。

[41] 自衛官の投稿者 : 当時、自衛隊ネタで有名になった投稿常連がいた。

[42] キャンター : 三菱自動車工業(当時)が製造・販売していた小型・中型トラック。作中のポンプ車は、吉武運送の若ダンナの趣味で改造されており、「ツインターボ420馬力フルタイム4WD、4輪ディスク及びダブルショック、タイヤはミッシュラン!足回り万全!まんまパリ・ダカ!」とのこと。

[43] ホンダ FT400: 400cc空冷4ストローク単気筒SOHCで少しダートトラックレーサー風のバイク。500cc版もあった。アメリカだけで人気(=日本では流行ってない)のジャンルのためか、同じくダートラ風デザインのFTR250とともに'80年代当時はマイナーな存在だった。その後'90年代に入りFTR250はストリート系バイクとして突如人気が出たが、FT400はマイナーなまま今に至る。

[44] ヤマハ XT500 : 500cc空冷4ストローク単気筒SOHCの大排気量オフロード車の名機。パリダカールラリー初期の覇者。このバイクのエンジンはその後SR400/500に採用、長らく使われ続けた。

[45] ホンダ CB750FOUR: 空冷4ストローク直列4気筒SOHC、高回転・高出力の4気筒エンジンで元祖スーパーバイクの系譜に連なる日本の名車。漫画「750ライダー」や「ワイルド7」で主人公が乗っていたことでも知られる。

[46] ホンダ CBX400F: 400cc空冷4ストロークDOHC直列4気筒エンジンのロードバイク。80年代前半に非常に人気のあったモデル。インボードディスクブレーキや、「X」をモチーフに交差した排気管が特徴。

[47] ホンダ CB250RS-Z : 250cc空冷4ストローク単気筒SOHCのスポーツ車。当時増えてきたタンクからサイドカバーへつながるデザイン、250cc専用設計フレームで軽量だった。

[48] ホンダ CR80R : 80cc水冷2ストローク単気筒のモトクロッサー(競技用オフロード車)で、公道走行は不可。車格が小さくチビッ子ライダーもターゲットにしていた。

[49] モノ・マガジン : ワールドフォトプレス社発行の「物(モノ)」を扱った専門雑誌。'82年創刊、2025年現在も刊行中。

[50] トップブリッジ : 左右のフロントフォーク上部を支える部品。ここではトップブリッジ中心に位置するステアリング軸が締め過ぎでハンドル周りの動きがシブくなってたということ。

[51] セルモーター : エンジンを始動させるための電動機(モーター)。

[52] ホンダ CBR250 : 250cc水冷4ストローク直列4気筒DOHCのレーサーレプリカ。レーサーレプリカブーム当時、初心者にも人気があった。

[53] ホンダ CBR400 : 初期は空冷直列4気筒DOHC、のちに水冷4ストローク直列4気筒DOHCになった400ccレーサーレプリカのシリーズ。どんどん新技術を投入し数年ごとにモデルチェンジを繰り返す当時のレーサーレプリカの典型的モデル。

[54] スピアー : 湯の島シリーズに登場した、ドクター・ガービィ設計のハイテク・バイク第二弾。カワサキZX-4をベースに後付けのターボを搭載していた。「走りの数値制御は可能」を標榜し、自動路面追従システムを組み込んである。絶妙のオートバランス機構により何の支えもなく立っていることができ、押しても倒れないほどであった。

[55] F-1S ブロンコ : 鈴鹿8耐で登場した、ドクター・ガービィが設計したハイテク・バイク第一弾。ベースはカワサキGPX750Rでなにげにハブステアだったりする。オーナーの好き嫌いで部品を変更した結果、サスペンションが故障する。こちらもオイル上がりで白煙をあげる闇雲とデッドヒートを繰り広げたのち、転倒してリタイア。

[56] ドクター・ガービイ : ミトモス・ガーブライエ(ガービィ)。自動制御工学の世界的権威。前述の「ブロンコ」「スピアー」の設計者。「スピアー」のライダーは娘のカーミラ。

[57] ミヤモトR・T : 宮本貴志率いるレーシング・チーム。湯の島シリーズにおいてスズキ GSX-R750で2勝する。

[58] Nさん : 月刊OUT編集部員。アニメ記事や投稿コーナー『見たかキミは…!?』『好きなものはエトセトラ』などを担当。のちに六代目編集長。愛称は「Nどん」。

[59] プロト : 『攻殻機動隊』に登場するキャラクター。公安9課所属で、長髪をオールバックにしている。

[60] ホンダの自立バイク : ASIMOなどのロボットのバランス制御技術を応用し、低速走行時や停止時に、ライダーが乗っていても乗っていなくても自立するバイク。 HONDA 二輪姿勢制御 Honda Riding Assist

[61] ヤマハの電動バイク : 自律的なバランス制御によって自立し、人の存在を認識して近づいてくるバイク。YouTubeなどでグネグネ動く様子を見ることができる。 YAMAHA MOTOROID2

[62] 気分はライダーズ・ハイ : '87年4月号『気分はライダーズ・ハイ 榎野彦・花小金井・力押し三五郎バイク夜話(ヨタばなし)』初心者ライダーの不安定な走りに恐怖して対向車が停まったら、その停まったクルマに突っ込んで事故った、とか、ガードレールの壊れた所を道と間違えて海に落ちたら、何も考えなかった後続も3台落ちた、などのバカ話が繰り広げられる。

[63] ミスター・バイク :'76年に創刊されたオートバイ専門誌、2025年現在はWEB媒体になっている。バイク文化全般に焦点をあて、硬派な社会派記事からフザけた記事まで振り幅の広い一癖ある雑誌だった。読者は革ジャン着たバイク野郎ってイメージ。

[64] 三ない運動 : '70年代から'90年代にかけて行われた教育運動。バイクブームによる交通事故の増加や暴走族に対する否定的な風潮の高まりから、高校生には「免許を取らせない」「買わせない」「運転させない」とするものであった。

[65] HOOLIGANS : '89年7・8月号に掲載されたアクション漫画。仙台を舞台に都市警察のメンバーがテロリストと戦う様を描く。

[66] 攻殻機動隊 : 士郎正宗による漫画作品。ヤングマガジン海賊版に連載('89-'90年)。重厚で複雑な世界設定が特徴。押井守によるアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』('95)を始めとして幾度もアニメ化・実写化されている。

[67] 西部警察 : テレビ朝日系列で放送された刑事ドラマシリーズ('79-'84年)。刑事チーム・大門軍団の活躍を描き、派手な銃撃戦やカースタント・爆破シーンなどで人気を得た。『HOOLIGANS』第一話の車の爆発シーンはまさに西部警察。

[68] 機動警察パトレイバー : ヘッドギア原作のメディアミックス作品。ゆうきまさみの漫画版のコミックス1巻で、テロリストのレイバー(多足歩行ロボット)が東京・浅草から上野まで移動する経路の描写について、主人公が「こんな地名ばっかガンガンでてきてもあたしみたいな地方出身者は何がなんだかわかんないよーっ!!」というセリフがある。

[69] 誌面刷新 : 月刊OUTは誌面刷新を繰り返してきた雑誌だが、'88年5月号では情報誌化を進め、'89年1月号ではターゲット読者層をより明確に女子中高生とし、各連載や記事の方向性を変化させていった。

[70] 地方都市が舞台の漫画 : 他にも『六三四の剣』(岩手)などがあるが、総じて東京中心だったと言える。現代と比べて通信手段が限られていた当時は、漫画家の多くが上京せざるを得なかったことも要因の一つかもしれない。


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